ハッピー♪ラッキー☆ダイアリー：「カラフル」

Entries

2010.11/23 [Tue]

「カラフル」

夏休みのころですが
アニメ映画になるという宣伝で
「罪を犯して死んだ魂が
抽選に当たって下界に戻り
他人の体にホームスティする」
というあらすじに興味を持って
「カラフル」を読みました

カラフル (文春文庫)
(2007/09/04)
森絵都

商品詳細を見る

主人公の“罪を犯して死んだ魂”が
ホームステイするのは
自殺した中学生の小林真

やはりわけあって“死んだ”他人の体なので
生き返ったものの普通に幸せな人生ではなく
小林真は
父親とも母親とも兄ともうまくいっていないし
学校ではイジメに合い
成績も良くなく、背も低く
恋愛もダメで・・・と
自殺したくなるような環境での再生になります

そんな中で
“罪を犯して死んだ魂”はホームステイを終えるために
「犯した罪」を思い出すことが課題

決められた期間内に思い出すことができれば
天界に行けるし
思い出せなければその時は・・・体を借りている小林真は・・・

“罪を犯して死んだ魂”の犯した罪は何か？
期間内に思い出せるのか？

そんなちょっとサスペンスっぽいハラハラする部分もあり
他人の魂が小林真になりきるコミカルな部分もあり
甘くて苦い中学生活の葛藤や苦悩、喜びもあり
それらを通しての感動ももちろんあり
秀逸なエンターテインメント作品でした

ティーンエイジャー向けなので
わかりやすくすらすら読めます

森絵都の書籍を読んだのは初めてだったのですが
イキイキとリアルに中学生活が描かれていたので
すぐに惹きこまれ
中学生時代に戻ったような感覚で
夢中で読みました

本当
どうして森絵都はこんなに
中学生の心や行動がわかるのか？と
驚くばかりです

主人公である
自殺して生き返ったイジメられっ子の小林真
地味で不器用な佐野唱子
援助交際をしている桑原ひろか
マイペースで優しい早乙女君
など個性豊かな登場人物の
それぞれに共感できる部分がありました

登場人物は極端に描かれてはいるけれど
誰の中にも
小林真の部分も、佐野唱子の部分も
桑原ひろかの部分も早乙女君の部分もあるのではないかな
と思いました

過剰な自意識を持て余して
些細なことで傷ついていた
中学生時代の気持ちを
思いがけず再体験して
胸がキュンとして感動いっぱい　

明るく楽しい薔薇色の青春というわけではなくて
悩んだり、壁にぶつかったり
苦しかったり、辛かったり
メインストリームからはずれた学生時代を送っていた人
送っている人には心に響く物語だと思います

オススメ！

本がとても面白かったので
映画も観に行きましたが
本で良かったセリフや場面がなかったりして
「どうしてあの場面（セリフ）をカットするの？！」
とかなり残念な作品でした

それでも
丁寧なアニメ画像は
美しかったし
何気なく挿入されるBGMが効果的だったり
映画ならではの良さもあって
感動して涙も出たけれどね

ちなみに
美術部の部室での印象的なシーンで
となりの合唱部の練習曲が聴こえてきて
思わず泣けたのはこの曲です